その「大きい」の使い方は、相手に通じにくいかも…

「大きい」は、日本語を話す人ならほとんど誰でも知っているし、日常的にもよく使われる言葉です。ところが使い方によっては、相手に通じにくくなってしまうこともあるようです。ここではその一例をあげておきましょう。
あるとき、卓球教室の仲間の山口さん(仮名)がコーチに話しかけました。
「今度の土曜日に、田中さん(仮名)とペアを組んでダブルスの試合に出ることになったんですよ」
するとコーチは、山口さんに聞きました。
「どの田中さん?」
「大きい方の田中さん」
山口さんが答えると、コーチは少し間をおいて言いました。
「えーと、ペンの田中さんね」
「そうです」
山口さんとペアを組んで試合に出る予定の田中さんは、どちらかといえば身長が低い方で、太っています。もう一方の田中さんも身長は低い方ですが、やせ型の体形です。そんなわけで、どちらの田中さんよりも背が低い山口さんは、「太っている」を婉曲的に「大きい」と言い換えたのです。
ところが山口さんや田中さんよりも背が高いコーチには、「大きい」という表現がピンとこなかったらしく、「ペンの田中さん」と使っているラケットの種類で確かめたのです。一方の田中さんはペンホルダーのラケットを使っていて、もう一方の田中さんはシェークハンドのラケットを使っています。山口さんとコーチとの会話をそばで聞いていた私は、ラケットで区別する方がわかりやすいと思いました。私も山口さんや田中さんより背が高いです。